株の罠 (角川文庫) 価格: 560円 レビュー評価:3.0 レビュー数:1 タイトルの「株の罠」は、霞が関に勤める役人が株式投資に手を出し、持ち金全てを失う、というやや刺激的な内容だ。期待値を超える含み益が出れば、この営業マンは信じてよい、という典型的な思考パターンによって騙されている。一度やられると、失った金額を取り戻すことが自分を正当化する唯一の手段、という心理状態に陥り、一見時間と金を取り戻せるかのような手の込んだ詐欺にまた引っかかる。リテール証券も単なるカラクリであるから、レールに乗らない(相手にしない)と決断するが一番の解決策である、と認識すればなんの問題もないんですね。まぁ、なんでも知恵のない人間は負けるんでしょうが。 |
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小説 兜町(しま) (徳間文庫) 価格: 720円 レビュー評価:3.0 レビュー数:2 兜町は私の職場のある場所です。現在では株取引の多くがインターネット等による売買となり、証券取引所にも「場立」が無くなり、以前テレビで見ていたように株が急騰したとき、証券マンがひしめきあうように手サインで株を売買する姿が無くなったため、本書に載っているような兜町の活気はありません。本書は昭和30年代の岩戸景気を背景とした株人気に生きた一人の相場士を描いています。現在もそうですが当時は株の配当よりもキャピタルゲインを重視していたので、投資家達も相場士の動向に注目していたし、中小の地場証券が多くあったため、それらの証券会社が相場のスターを求めていたという背景がよく分かります。古き良き兜町に生きた一 |
燃え尽きる (集英社文庫) 価格: 530円 レビュー評価:4.0 レビュー数:1 清水さんの小説はモデルとなる企業があると思われることが少なくないが、この本は、ズバリ実名ですべてが登場している。主人公は、三菱重工業社長牧田與一郎氏である。牧田氏は三菱重工の社長在任中に壮絶な最期を遂げる。その最期にいたるまでの生き様を、見事に描ききっているのが本書である。経営者とはかくも熱いものなのか。また、その生き方から、人生の再スタートはいつからでも、どこからでも始められるということを、強く感じさせてくれる。小説ではあるが、綿密な取材に基づく半フィクションといえるようなものだけに、説得力は抜群だ。 |
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